【新チーム探訪記 vol.2】新潟医療福祉大学スカーレット「YOUはどうしてアルティメットを?」
フライングディスクタイムズをご覧の皆様、こんにちは!FDTライターのなぎです。
年末になり、すっかり寒くなってきましたね。
北海道や東北、北陸では雪でなかなか練習できず、アルティメット不足になっている方も多いのではないでしょうか…!
さて連載企画の第2回目となる今回は、そんな北陸の新設チーム、新潟医療福祉大学スカーレットを取材しました!取材に対応していただいたのはウィメンキャプテンで3年生の藤枝亜弓(ふじえだあゆみ)さんです!
新潟在住にも関わらず、東北リーグや富士の大会会場にもよく出没する彼女はまさに「フットワークの塊」。そんな藤枝さんが、チーム創立からアルティメット中毒になるまでなにがあったのか、取材してきました!
【連載企画 他記事はこちら↓】
サークル創立のきっかけは先生からの発案
-新潟医療福祉大学スカーレットはいつから活動しているんですか?
2016年の4~5月くらいに立ち上がり、今が3年目です。私は健康スポーツ学科の学生なんですが、「健康医科学概論」という授業のガイダンスのときに佐藤敏郎教授(新潟県フライングディスク協会 会長)がアイスブレイクとしてアルティメットの映像を流してくれたんです。そしてガイダンスの最後に「今年度からアルティメットのサークルを創りたいと思っているので、興味ある人はぜひこのあとグラウンドへ!」と1年生200人くらいにアナウンスしてたんです。そのときはグラウンドに30人くらい集まっていました。そのあと改めて「サークルとして立ち上げよう」という話になり、5月には10名ほどで申請し、正式にサークルになりました。
-「スカーレット」というチーム名にはどんな由来がありますか?
新潟大学にアイビスというチームがあって、アイビスは私たちより半年ほど前に立ち上がったチームなんです。アイビスは日本語で“トキ”という意味で、トキは新潟県の県鳥なので「トキに関連した名前がいいな」という思いがあったんです。そこで佐藤幸大さん (新潟県フライングディスク協会 理事長/アルティメットチームD-Force 代表)が「スカーレットアイビス」という鳥がいることを教えてくれて、スカーレットに“情熱的な”という意味もあるので、それいいねって話からスカーレットになりました。
-練習場所・練習の頻度は?
火・金・土の週3回、大学の多目的グラウンドでやっています。土で70m×37mの少し狭いスペースです。夏季シーズンや学生選手権の前などは、阿賀野川の河川敷にある多目的広場を無料で借りて、日曜に練習することもあります。
-チームにはどんな特徴がありますか?
医療福祉の大学ということもあり、看護学科・理学療法・救急救命などを専攻しているメンバーがいて、みんな実習などで忙しいですね。なので「練習できるメンバーで、できることを全力でやる」というスタイルでやっています。
-練習など技術的なレベルアップはどうしていましたか?
最初はなにもわからないまま、Youtubeで映像を見て、見様見真似でスローの練習だけしていました。そして創立してすぐの2016年5月、富山県フライングディスク協会が主催する交流大会があり、佐藤先生がスカーレットから5名を連れて行ってくれました。ピックアップチームではあったんですが、そこではじめて「アルティメット」というスポーツをちゃんと見て、プレーをしました。株式会社クラブジュニアの吉田社長からの初心者講習などもあり、チーム創立直後の私たちにとってはとても大きかったです。
ウィメンが少なく、合同チームやメン部門で出場する1年目
-創設後の1年目はどのように活動していましたか?
6月にクラブジュニア主催の大会「Discraft Ultimate Open」に、新潟大学アイビスと合同で出場しました。女子が足らずメン部門で出ましたが、なんとユニフォームが足りず、私はマネジャーの役割をしていました(笑)
その後、チームとしてのはじめての公式戦が11月の新人戦でした。夏に学生選手権があることを全く知らなくて出場を逃してしまいました…。新人戦は佐藤先生から教えていただき出場しました。これもメン部門で出場しました。そして冬は雪が降ってしまうので、初年度の冬はほとんど練習できませんでしたね…。
-北陸という地域上、冬季の練習は難しいんですね…。
とにかく行動し、世界が広がった2年目
-2年目はどうでしたか?
冬が空けて3月頭から練習をはじめ、新年度に向けて佐藤先生が初年度同様にガイダンスで周知。新入生を勧誘してくださいました。ただチームとしての勧誘活動はあまりしていなくて…結果新入生は10名ほど、先生の呼びかけで集まってくれました。
-大会には出場したんですか?
JFDAのサイトを見て全日本選手権予選から出場しました。ぼこぼこでしたけど…笑
そのあとはディスクヴィレッジ(東北のミックスチーム)にお誘いいただいて、何名かのメンバーが東北リーグに出場しました。6月末にはUNG(クラブジュニア社主催 1~2年生大会)にも出場し、8月には富山県のビーチアルティメット大会に出場しました。また、新潟県フライングディスク協会の設立イベントがあり、そこではスカーレットもアイビスなどと一緒に協力し、いろんなゲストの方とアルティメットをしました。
-1年目に比べていろんな機会があったんですね。
そうですね。その後は学生選手権予選があり、秋の東北リーグ、そして新人戦がありました。新人戦直前の2月には、チームとして初めての合宿をやりました。SNSで各チームがやっているのを見て、うらやましいなーと思っていたんです。そこで、交流があったクラブジュニアの吉田社長に相談して、東京にあるクラブジュニア社のショップに宿泊させていただき、2泊3日の関東合宿をしました。そこではMUD、明星大学スパークス、ビッグボンバーズのみなさんと合同練習や練習試合をさせていただき、とても貴重な機会になりました。
ウィメン部門での初出場、大成の3年目
-3年目となった今年はいかがですか?
昨年度の時点でウィメンが5名ほどいたので「今年こそはウィメンで大会に出たい!」と思っていました。そこでFacebookページを立ち上げたり、twitterでチーム情報を拡散してもらったり、プロモーションビデオを作成しました。大学主催の新歓イベントでも1年生に向けてチーム紹介もしました。その甲斐もあり、新入生が50名くらい見学・体験に来てくれました。今では1年生だけでも20名近くいます。チーム全体では33名になり、大会もウィメン部門で出場が叶いました。
想いを持つ人が前を向いてがんばってみる。チームの温度差の解消法
-大成の3年目になったんですね。3年間を振り返って、苦労したことはありましたか?
チーム内の温度差に苦労しました。チーム創立1年目の5月、初めてアルティメットをした富山の大会で、私が参加したピックアップが決勝まで行ったんです。決勝戦はユニバースポイント(両チームがマッチポイントで、得点した方が勝利になる状況)までもつれる大接戦。なんと私がダイブキャッチで得点し、チームは優勝。さらにMVPにまで選んでいただきました。その瞬間からアルティメットに対する熱がすごく大きくなったんです。ただ、逆にそこからチーム内での温度差に苦労しました。そういう意味で一番苦労かったのは1年目でしたね。
-チーム内の温度差、新チームに限らず、様々なチームが抱える悩みですね。そんなときどうしていたんですか?
「こういう大会あるよ!」「ほかの大学ではこういうことやってるみたいだよ!」というように、粘り強く情報提供をし、コミュニケーションを取っていきました。チームにはビーチや地方大会などの様々な大会にたくさん出たい人も、公式戦だけでいいという人もいました。こういった温度差はどこのチームにもあると思うんですが、まずは想いがある人が頑張って、チームとして結果が出てくれば、みんな「私もがんばってみようかな」と着いてくると思うんです。やりたくてやることが一番なので、強制するようなアプローチは必要ないかなと思います。
-チームとしての転換点はありましたか?
チームの意識が大きく変わったのは、2年目になり、後輩ができたとき。後輩ができて「指導すること」が発生したときに技術の向上や戦術理解の必要性がでてきて、みんなの意識がすごく変わりました。チームとして勝ててはいなかったんですが、大会でも点数を取れるようになってきたり、どんどんうまくなっていく後輩の姿を目にしたりすることで、雰囲気はよくなりました。
全日本本戦出場、地区選抜選出。個人のチャレンジがチームを強くする
-藤枝さん自身は個人でいろいろなチーム、大会にいますよね?
新潟ということもあり、基本外に出ないと大会にも出られない。去年の全日本選手権にはチャーム(東北のウィメンチーム)で出場したんですが、自チームからの反対も少しありました。ただスカーレットを強くしたい気持ちはもちろん、個人のレベルアップもしたかったので、押し切ってチャームで出場しました。
-チームの方針などにより難しいところもありますが、外に出るメリットはありますよね。
チーム自体も2年目になってそのあたりは変わってきました。有志のメンバーで本栖湖オープン(OVNI主催)や蒲郡ビーチ(愛知県フライングディスク協会主催)などに行っていたり、外に行こうという雰囲気は出てきました。
-それは藤枝さんの功績ですね。
いまの1年生が東北リーグに出たときに「あー亜弓の後輩ね」と言われることがあって嬉しかったです。
-自身の経験として、外のチームでやることはどうでしたか?
2年生の全日本選手権にチャームとして出場したのは、初めての大きい舞台で、大きな経験になりました。本戦にも出場できたんですが、ただただ、本当に圧倒されました。本戦に出た経験から、自身のレベルアップの必要性を強く感じ、地区選抜にも挑戦。ミックス部門に選出もしていただきました。そういった経験はスカーレットに還元できたし、もっとがんばりたいと改めて思いましたね。
-ご自身の挑戦が、チームの成長にもつながったんですね。
スカーレットとしての初勝利は2年目12月のVC(クラブジュニア主催 学生ミックス大会)でした。めっちゃ嬉しかったです。チームとしてミックス部門で出られたことも、勝ったことも嬉しかった。佐藤先生や吉田社長にも祝ってもらって、それも嬉しかったです。そのあとの新人戦も勝利ができて、2年目は嬉しい年でした。
-チームができてから約1年半越しの初勝利、それは嬉しいですね。
そうですね。その後、ウィメンとして初の大会出場。そこでは4勝もすることができて、順位もよかったんです。学生選手権予選も何度か勝つことができました。ウィメンが勝ったこともあり、メンもそれまで以上に気合いが入り、良い雰囲気になりましたね。
チームでも、個人でも、もっともっと強くなりたい
-これからの展望はありますか?
まだウィメンは代替わりを完全にできていないんです。初代ということもあって。ただ、来年の全日本選手権までには代替わりをして、後輩たちにチームを引き継いでいきたいです。また、引き継ぐだけではなくて、全日本選手権で勝てるようなチームにしていきたいです。
あとはメンバーには地区選抜などにも積極的に参加してほしいと思っています。私もU24ミックス部門にエントリーしていて、メン部門にも3名エントリーしています。そういうのがもっと増えたらいいと思っています。
私自身として今はU24の選考をとにかくがんばりたいです。就活もあるんですが、社会人になってからもアルティメットを続けたいです。
-記事を読んでいる人たちに伝えたいことはありますか?
アルティメットは、いろんなところで、いろんな人とプレーをすることが一番楽しいと思います。周囲からいろいろ言われたり、金銭的にしんどかったりありますが(笑)、ただ誘われたら挑戦することがとても大事かなと思います。場違いかなと思っても、飛び込んでみることが大事かなと!
-まさに藤枝さんならではのメッセージですね!
あと新潟ではプレーヤーが少なく情報も少ないので、ブログやtwitterで発信されている情報はとても助かっています。そういった情報を見て、チーム内でも「これやってみない?」となっているんです。なのでそういう情報はどんどん発信してほしいなと思います。とてもありがたいんです。あとは今度の2月にも関東で合宿したいと考えているので、ぜひ東京で練習試合など一緒にさせていただきたいです!
-ぜひ東京でも、いろんなチーム・プレーヤーとプレーしてください。ご協力ありがとうございました!
取材を終えて
チームの強化と自身のレベルアップ、そのどちらも実践している藤枝さんには、とてつもないパワーがありました!こういった地域を飛び出して活躍するプレーヤーが学生からどんどん出てくると、全国を通じてアルティメットがさらに盛り上がってくるんだろうなと、とてもわくわくさせてくれるお話でした!今後のスカーレット、藤枝さんの活躍に期待です!
本記事を見て、新潟医療福祉大学スカーレットに興味を持った方は、以下の連絡先にご連絡ください!
(FDTを見た!とお伝えするといいかもしれません)
【連載企画 他記事はこちら↓】
Flying Disc Times ライター
東洋大学JAVELINAUTS出身|ロキートスおよびクレイジ所属|大学入学とともにアルティメットチームを設立し、今は社会人チームでプレーしています。国内外問わず、あらゆる大会に出没します。フライングディスクと同じくらいお酒が好きです。「取材してほしい!」「記事にしてほしい!」等のご依頼があればお気軽にご連絡ください!