選手だけではないアルティメットとの関わり方 番外編 〜チームスタッフの仕事①「メディカルチェック」〜

※本記事は、2020年4月3日に「文章・写真・音楽・動画などの作り手とフォロワーとをつなぐサービス note」にFDTライターの小峯が投稿した記事「マネージャー業務紹介①メディカルチェック」を改題・一部改変の上、転載したものです。


こんにちは。FDTライターのこみねもかです!

これまで、FDTでチームスタッフの業務にかかわる記事を公開してきました。

■過去の記事はこちら↓


 

この第2回目の記事では、チームスタッフの業務として、「メディカルチェック」「タイムキーパー」「動画の撮影、編集、共有」を紹介しましたが、これからそれぞれの業務について詳しく紹介していきたいと思います。

第1弾となる今回はメディカルチェック

「メディカルチェックって何??」そんな疑問が頭に浮かぶのではないでしょうか。
簡単に言えば、選手のコンディショニングチェックです。選手のコンディショニングをスタッフで共有することで、練習スケジュールをより良いものにしたり、怪我を減らす・悪化させないことにつなげていきます。今回は2019WU24日本代表ウィメン部門で実際に導入していた例を紹介します。

 

きっかけ

国内強化合宿開始を前に、選手の怪我や負傷が相次ぎました。これが単純な導入理由です。(チームによっては設けているところもありますが、)アルティメットにはオフシーズンというものが存在しません。U24の本大会も7月に開催されましたように、1番パフォーマンスを上げたいと考えられるシーズンは夏以降。冬はミックスの大会が多く開催され、シーズンを乗り切るためには中長期で見た体のコンディションが必要だと考えました。日本代表チームには、チームスタッフである私のほかに、「トレーナー」という役職が存在します。今回の2019WU24 ウィメン部門についてくださったトレーナーさんは前回のU24、パースでの大会で日本代表ミックス部門についていたアルティメットトレーナーの経験がある方でした。その方のアドバイスや、現在もトップレベルで活躍されている監督さんの経験などを参考に導入を検討しました。

 

具体的な方法は?

私たちが使用していたのはGoogleフォームです。導入する際に1番重要視していたのは「手軽さ」でした。それはコンディショニングチェックをする選手本人はもちろん、それを管理するスタッフも考慮したうえでのGoogleフォームでした。練習開始前に必ずチェックしたかったので収集する情報も最低限にして、回答の負担を減らしました。その解答で足らない部分はコミュニケーションで補えばいい話です。

作成者側としてはGメールアドレスを持っていれば誰でも作成できます。また、回答内容が1つスプレッドシートで収集できるので、iPhoneだけでなくPCでも閲覧できます。選手ごとの集計やグラフ化も手軽にできるのでお勧めです。この代表活動ではトレーナーさんが選手全員のデータを集約し、グラフ化して管理してくれていました。

このフォームで収集していた情報は大きく分けて以下の5つです。
①身体的コンディション:5段階
②精神的コンディション:5段階
③睡眠時間:時間記入
④怪我の有無
– 怪我の部位
– けがの状態
– テーピングの有無
⑤月経の有無

FDTの記事では「この内容をもとに選手との話のきっかけにしていた」なんて書きましたが、本当にその通りです。特に、①身体的コンディション②精神的コンディションは数字で状態を示してもらうだけなので、回答してもらっただけでは内容までは把握できません。実際に話してみて理解できる話であったり、選手には話しにくいけどチームスタッフやトレーナーさんには話せる、話したいというケースも少なからずありました。女の子特有かもしれませんね!誰かの悪口とかそういうことでは全くないです。チームスタッフにとって、選手が「誰に話せばすっきりするのかわからない」というモヤモヤした感情を「話してもいいかな…。この人になら話せるかな…。」という存在になるのってすごく大事なことです。(そういった存在になれるだけで、自分自身のやる気につながります…!)

 

導入効果

このメディカルチェックを行い始めて様々な効果が生まれました。チームスタッフとしては選手の身体的コンディションやプレーの質が見ただけで分かるようになったことが大きな発見です。回答内容をざっと確認したあとに、練習やトレーニングに取り組む選手の姿を回答と照らし合わせながら見るだけで一目瞭然です。選考会の時点では、選手の名前と顔を一致させるので精いっぱいだったので、選手の特徴を覚えるのにも一役買いました。

また、回答項目の4つ目④怪我の有無は練習に取り掛かるまでの準備段階で重要なデータとなりました。練習に取り掛かる前にトレーナーさんのケアが必要な選手をあらかじめ洗い出しておくことで、テーピング時間の確保・短縮やアップのメニューの編成に役立ちました

また5つ目の項目は特に女の子特有です。生理の症状は人それぞれ。腹痛がない子もいれば、立ってることすらしんどいくらい痛む人もいます。そして何よりデリケートな問題だからこそ、画面を通して回答できるのはよかったと思います。

 

今後の活用

この業務の難しいところは専門知識がものをいうこと。代表活動ではトレーナーさんとともに活動していたのでかなり安心して、お互いできるところをやり、そうでないところはフォローに入るといった役割分担ができていました。ですが、これを大学チームや社会人チームなどの身近なところで導入するとなると、ある程度の知識が必要です。導入するのであれば既往症やそれに必要な処置を勉強しておくという準備段階が発生し、チームスタッフ・マネージャーの負担がかなり大きくなります。

しかし、実際に社会人チームにかかわっていて感じるのは、知識がないとできることが限られるということです。Technicolorには専属のトレーナーはいません。なので怪我をした時や、コンディションがすぐれないときは選手自身に練習参加するかしないかなどを判断してもらいます。既往症やどこを捻挫しやすいなどを選手ースタッフ間で共有して、最低限の処置や簡単なテーピングができるようになりたいなと常々思います。

 

終わりに

今回は2019WU24で導入したメディカルチェックをご紹介しました。スポーツは体が資本です。一人のコンディションが時にはチームのパフォーマンスを左右します。チームスタッフとしてできることは最大限やりたい!といつも思っていますが、それによって選手自身のセルフケアを怠らせてしまうのはまた問題です。あくまでも、「トレーナーさんやスタッフがいるから大丈夫!」ではなく、選手自身も自分の体としっかり向き合って日ごろからコンディショニングを整えることを意識してみてください!それでもどうにもならないとき、スタッフがいることでより良くなるサポートを心がけていきたいです。

 


※本記事は、2020年4月3日に「文章・写真・音楽・動画などの作り手とフォロワーとをつなぐサービス note」にFDTライターの小峯が投稿した記事「マネージャー業務紹介①メディカルチェック」を改題・一部改変の上、転載したものです。

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