SOTG Report Vol.4「2019U-23アルティメット地区選抜対抗戦」
「SOTG Report」をお届けします。SOTGレポートが公開されるようになった経緯などは以前の記事にまとめているので、そちらをご覧ください。
2019年第4号となる今回は、2019U-23アルティメット地区選抜対抗戦のSOTG面での振り返りを行います。
今大会でのゲームアドバイザー活動
今大会でのゲームアドバイザー活動を整理すると、以下のようになります。
今大会での新たな取り組み
アルティメットクラブチャンピオンズリーグ2019に引き続き、スピリットディレクターを配置しました(筆者もアシスタントとして活動しました。)。
スピリットディレクターは、スピリットキャプテンミーティングの実施やSOTGスコアの収集、システムへの入力、コメントへの対応を通じて、大会期間中に行われるすべての試合のSOTGの状況を把握、管理し、円滑な大会運営を支援するスタッフです。
詳しくは以下のSOTG委員会通知をご覧ください。
本協会主催大会への「スピリットディレクター」の配置及びスピリットキャプテンミーティングの実施について(SOTG委員会通知 2019-04号)
https://www.jfda.or.jp/web/wp/wp-content/uploads/2019/09/c77fe19292151f58300f974d5c3df8a5-1.pdf
また、今大会では、選手からのSOTGに関する質問や相談に直接対応するため、本部テント内に「SOTGブース」を設置しました。スコア提出のついでに多くの選手に立ち寄っていただき、選手、スピリットディレクターの両者にとって実りある機会になったのではないでしょうか。今後も折を見て、不定期ではありますがSOTGブースの設置を検討していきたいと思います。
SOTGに関する優れた取組みと改善点
今回の大会で見られたSOTGに関する優れた取組みと改善点を以下のとおり整理しました。
<優れた取組み>
- 多くのチームがスピリットキャプテンを配置していた
今回の大会では、各チームへのスピリットキャプテンの配置を依頼していませんでしたが、試合前に対戦する両チームのキャプテンとゲームアドバイザーがミーティングを行う際、スピリットキャプテンも同席するチームが多く見受けられました。
JFDAは、今年度実施する大会ではスピリットキャプテンの配置を義務付ける予定はないとしていますが、各チームが自主的にスピリットキャプテンを配置することは非常に意義があると考えられます。
また、JFDAではWFDFが公表しているスピリットキャプテンの役割を整理した資料「Spirit Captain Role」を日本語に訳した「スピリットキャプテンの役割」という資料を作成、公表しています。すでにスピリットキャプテンを配置しているチームや配置を検討しているチームの方はぜひご覧ください。スピリットキャプテンの役割 (原題:Spirit Captain Role)
https://www.jfda.or.jp/web/wp/wp-content/uploads/2019/09/e5609e7f09e2fb9803727ad40482d4e6.pdf
<改善点>
- ルールの理解について
選手のルールの理解が十分でないがために、コール発生後などに誤った処理を行っているケースが多く見受けられました。
中には、相手チームからのコールが無かったために反則として認識されなかったプレイもありました。自らがルールを理解し、それを守るのは当然のことですが、相手の反則に対してしっかり指摘することも同様に重要です。
公式ルールには、「スピリット・オブ・ザ・ゲームの精神に対する向上を図るため、相手チームに対しても、建設的な意見及び提案をすること」が、チームに求める行動として示されています。(1.7.3)
今大会でゲームアドバイザーが確認したルールの誤認は以下のとおりです。
まとめ
今回の大会は、各地区の選手や指導者とコミュニケーションをとることのできる貴重な機会になりました。地区ごとに抱えている課題は違いますが、今回の大会で収集した情報を基に来年度以降の活動計画を練っていきたいと思います。
また、公式ルールを誤って適用している場面は依然として多く見受けられます。地区選抜対抗戦の開催目的の1つに「大学生以下世代の全国的なレベルアップ(スキル&SOTG)」があります。SOTG面、特に公式ルールに関する部分では、充分なレベルに達しているとは言えないという印象を持ちました。地区選抜対抗戦に出場している選手は、国際大会に出場する実力を持っている選手ばかりです。スキルだけでなくSOTGに関しても世界に通用するレベルを目指していただきたいと思います。当然のことながら、ゲームアドバイザーも可能な限りサポートはさせていただきますので、SOTGや公式ルールに関して疑問に思ったことや困ったことがありましたら、気軽にお問い合わせいただければと思います。
今後とも、ゲームアドバイザーの活動にご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
Flying Disc Times ライター
JFDA上級公認ゲームアドバイザー|WFDF国際ゲームアドバイザー日本人第1号|明治大学FREE FLYERS出身|CREWS所属|フライングディスク競技の核である「スピリット・オブ・ザ・ゲーム」と、その考えに沿って選手が「セルフジャッジ」を高い水準で実現するための方法について、日々研究と実践を繰り返しています。エビデンスに基づいた記事の執筆を心掛けます。