「2016年の悔しさを糧に」小池将史選手(2019AOUGC 日本代表メン部門キャプテン)

2019年7月23日(火)〜27日(土)に中華人民共和国・上海で「WFDF2019アジア・オセアニアアルティメット&ガッツ選手権大会(以下、「AOUGC」)」が開催される。4年に1度開催されているこの大会は、世界アルティメット&ガッツ選手権大会(以下、「WUGC」)の前年開催となっており、日本代表チームの現在地を確かめる重要な大会だ。今大会、日本からはアルティメット3部門(メン部門・ウィメン部門・ミックス部門)とガッツ1部門(オープン部門)の出場が発表された(代表メンバーはこちら)。そしてその中から今回は、アルティメット・メン部門にキャプテンとして出場する小池将史選手に話を伺った。

私自身、2015年ロンドンで行われた23歳以下日本代表メン部門で、チームメイトとして小池選手と出場させていただいた。当時もマーシーさん(小池選手)はチームの中心選手であったが、今大会はキャプテンとしてチームを引っ張る。大会に向けての想いを伺わせていただいた。

 

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Profile

WFDF2019 アジア・オセアニアアルティメット&ガッツ選手権大会
日本代表 メン部門 キャプテン

小池 将史
Masashi Koike

1992年6月16日生まれ
近畿大学フライングディスク部出身
大阪スピリッツ(メン部門)所属
右利き。ポジションはハンドラー

2015年に23歳以下メン部門日本代表で世界大会3位、2016年にA代表日本代表メン部門で世界大会2位を経験。

 

Interview

「キャプテンになったからといって特別変えることはない」

―マーシーさん、お久しぶりです。ご無沙汰してます!今回はありがとうございます。今回、AOUGCにキャプテンとして出場されるということで、ぜひ大会に向けての意気込みやキャプテンとしての心がけなど伺えればと思っています。よろしくお願いします。
久しぶり!こちらこそありがとう。よろしくお願いします!

 

―早速ですが、まずは日本代表でキャプテンをすることについて想いを聞かせてください。
そもそもキャプテンに決まったのが、今回のチームが決まってから最初の練習会だったんだけど、最初に監督からキャプテンを最初にお願いされたときに冷静に自分の立場を考えたら、キャプテンをやることに対して驚きはなくて。今回のチームでは年齢的に上から4〜5番目だし、過去に23歳以下の日本代表とか地区選抜で一緒にやったことがあるメンバーも多くて、チーム内での立場やコミュニケーションを考えたら俺かもなって。

 

―キャプテンをやるにあたって、何か気持ちや行動で変えてることってあるんですか?
正直、キャプテンになったからといって特別変えることはないかな。キャプテンをやろうとも、やるまいとも、自分が中心にならざるを得ない立場だと思っているし、引っ張っていかないといけない年代だなっていう気持ちはあったから。代表とか所属チームとかで、正直自分の年齢がだんだん上がってきたなっていう感覚があって。それに下の子たちが上手だなって感じることもあって、正直怖さも感じてる。特に代表に関しては、自分より下の年代からどんどん上手な子たちが出てくる中で、ずっとできるかなっていう不安もあって、それでも自分が経験してきたこととかプレーとかでチームを引っ張って、チームにとって欠かせない存在でありたいっていう想いがあるかな。

2028年のオリンピックでフライングディスクが正式種目入りする可能性がある中で、その時の代表に入っていたいっていう気持ちがあって。でも一方で、9年後には35歳を超えている自分がいけるんかなって。35歳でトップレベルでやれる選手って一握りだし、現在の代表チームでもその年齢で活躍している人って限られてくるから。でも逆に言えば、自分たちとか自分らより下の世代が、これからに向けて引っ張っていかないとなって気持ちがあるかな。

 

2015年WU23

2015年ロンドンでの23歳以下世界大会での1枚。今回のAOUGCには小池選手の当時のチームメイトも多く出場する。

 

「アシストのアシストが一番好きなプレー」

―そもそも、アルティメットを始めたきっかけは何だったんですか?
アルティメット始めたのは、大学に入学した時。高校まではサッカーをやってて、大学ではフットサルのサークルとかでゆるーくやろうかなって考えてたんだけど、特にどこかのチームやサークルにあてがあったわけじゃなかったから学内での新入生歓迎のチラシをもらう感じで待ってた。そしたらその時にフライングディスク部の人が最初に勧誘してくれた。後で知ったんだけど、うちの大学はサークルが学内で勧誘活動しちゃいけないらしくて、だからフットサルが見つからなくて。でもフライングディスク部の勧誘の話聞いてると、練習は週3だし、いわゆる体育会系のガチガチした感じじゃなくできそうだって思って。高校までは週6の部活だったから(笑)。

 

―ということは、もし他のスポーツがアルティメットより先に勧誘していたら、、、
そっちのスポーツをやっていた可能性はあるね(笑)。そんな感じだったから、最初からすごくやる気があったわけではなくて、始めはゆるい気持ちで入った。当時うちの部はそんなに人数が多かったわけではなくて、全日本選手権とかでも1年生の時から試合に使ってもらってたりしたけど、その時はまだすごくやる気があったわけではなかったかな。でも、1年生の新人戦で「自分らでしっかりやらないと」って思ってからかな、だんだんやる気が出てきた感じだったと思う。

 

―人数が多かったわけではないと言いつつ、「ぶっちゃけ結構できた」のでは(笑)?
それもちょっとあるかな(笑)。でも人数少なかったのはほんと!ちなみに、当時は今と違ってミドルをやってた。最初はやっぱり点を取るのが好きだったしね。だけど、だんだんチーム事情でハンドラーをやるようになっていって今に至るかな。

 

―ちなみに今は、ハンドラーとミドル、どっちが好きってあるんですか?
今は断然ハンドの方が好きかな。最近は、かなり玄人好みだけど、アシストのアシストが一番好きなプレー(笑)。自分があんまりシュートが得意なタイプではないから、シュート打てる人に自分がいい形でパスを出して、その人がいい形で前向いてシュートを打って点が入った時に、一番「よっしゃ」って思う。スコアボードには出ないけどね!(笑)

 

―めちゃめちゃ渋いですね(笑)! ここまでの話だと、最初はすごくやる気があったわけではなかったっていう話ですけど、日本代表を目指し始めたのはいつからなんですか?
最初は日本代表を目指してたとかではなかったけど、自分が大学4年生のときに23歳以下の地区選抜対抗戦ができて、関西のメンバーで打倒関東目指してやるのがすごい好きだったんだよね。それで地区選抜に参加してたんだけど、当時は地区選抜が2015年の23歳以下世界大会の日本代表選考に繋がっていたから、結果的に日本代表の選考にも選んでもらえて。そこから今の日本代表に繋がってきたって感じかな。

 

2016年WUGC 日本代表メン部門 銀メダル

2016年WUGCで、小池選手が出場した日本代表メン部門は銀メダルを獲得。

 

「1つのターンオーバーに対する重み」

―学生時代から社会人になっている今に至るまで、世界大会・国内大会ともにたくさん経験されてる中で、一番印象に残っている大会は何ですか?
2016年のWUGCだね。あの時は、「このメンバーだったら本当に世界で勝てる」って思った。だけどやっぱりアメリカは揺るぎなかったな。自分の中ではアメリカとの決勝戦は今でも忘れられないね。(2016年WUGC 日本代表メン部門はアメリカとの決勝戦を戦い、11-15で敗れた。)

あの試合、日本はアメリカのオフェンスラインに対して1回しかターンオーバーを起こせなかった。そしてその1回のブレークチャンスで、日本側のターンオーバーを起こしてしまったのが俺だったんだよね。あれがやっぱり、、、俺の中では一番、今思い出しても嫌なプレーだし、あの大会の前と後では、1つのターンオーバーに対する重みが変わったかな。

正直、今の所属チームや日本代表でも「1つのターンオーバーの重み」について全員がどこまで意識できているだろうかって疑問に感じてしまう時もあって。練習での少しの意識の部分が、本番の試合になって表れちゃうかもしれないと思う。でも、もうあれは2度と起こしたくないな。

 

―ちなみに、今でもあの試合、観返しますか?
「あのプレー」までの部分と、一番最後の松野さんのスーパーキャッチは観るかな(笑)。

 

2016年WUGC決勝

2016年WUGC決勝での1枚。当時24歳の若手プレーヤーだった小池選手。それから3年経った今年、日本代表でキャプテンを務める。

 

「しっかり結果を出して、存在感を示していきたい」

―今回のAOUGCの代表チームに対してどう感じてますか?
これまでの3回の合宿の中で、正直まだ全てを理解しきれているわけではないけど、若手主体のメンバーだから、勢いがついたら強いチームになるんだろうなった思う。一方で不安としては、これまでA代表に入ってきていなかったメンバーが多いチームなことかな。これまでA代表常連だったメンバーが多く選出されているわけではないから、経験の少なさがどう大会の内容や結果に影響するのか不安な部分かな。でも、今回選ばれているメンバーは、これからを担っていくべきメンバーだと思うし、これまでの常連メンバー以外の日本の力がどこまで通用するのか知る最高の機会だと思う。

 

―なるほど。1人の選手としては、今回の大会でやりたいこととか意識したいことはありますか?
今までと変わらず、自分からのパスの流れでシュートを打てる人にいい形で繋いで攻撃ができるといいなって思う。多分自分はディフェンスで出ることが多くなると思うから、ターンオーバーを起こした後のオフェンスでいい形を作りたいかな。シュートを打てるメンバーが多いと思うしね。

あとは、自分が所属している大阪スピリッツが国内の大会で順位が上がってきていると思っていて、バズバレッツやノマディックトライブの次は自分たちだって意識が個人的にはあって。今回の代表に選ばれた人数もチーム単位で考えると今回は大阪スピリッツの選手が多い。だから、今回バズバレッツやノマディックトライブの選手が多くない中でもしっかり結果を出して、存在感を示していきたいかな。

 

―最後に、AOUGCに対する意気込みを聞かせてください。
やっぱり結果。前回優勝しているし、今回も優勝という結果にこだわりたい。自分自身がアジアのレベルを体感したことがないから、わからないことも多いけど、どんなメンバーであれ、しっかり結果を出していくことが大事だと思うかな。

 

―ありがとうございます!

 

 

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