U24日本代表ウィメン部門キャプテン 吉田楓が語る 日本代表への道と世界大会の魅力とは vol.1

Profile

WFDF2018世界U-24アルティメット選手権大会 ウィメン部門 キャプテン
吉田 楓
Kaede Yoshida

1995年9月18日生まれ(当時22歳)
法政大学アサマックス出身
ヘーセーベジグリフォンズ(ウィメン部門)、Odds and ends(ミックス部門)所属
背番号#1
右利き。ポジションはミドル

 

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Interview

今まで経験したことのないバチバチした「本気のアルティメット」

―アルティメットを始めたきっかけは何ですか?
大学に入ってなにか新しいことをやりたくて始めたのがきっかけです。

―高校では何をしていましたか?
中高とソフトボール部でした。そのまま社会人チームでソフトボールを続けることも考えましたが、大学の団体に所属して同じ世代の人とやりたいなと思ったんです。でも、自分の大学にはソフトボールができる環境がなくて。だから、他の競技を探しました。

―アルティメットにした決め手は何でしたか?
今だからこそ言えますが、正直言って当時はそこまでスポーツを本気でやるつもりもなく、どうしようかなと思っていた時に先輩に誘われたので興味本位で初めてみたって感じでした。(笑)

―いつ頃から本気でアルティメットに取り組み始めたのですか?
3年生の夏くらいからですね。(笑)
2年生の時の夏合宿にU20日本代表監督だった岩間さんが来てくれて、「地区選抜とか受けてみたら?」と勧めてもらいました。実はその時に初めて地区選抜というものがあることを知りました。この時もまだあまりやる気があるわけではなく、とりあえず受けてみようかなくらいの軽い気持ちで地区選抜を受けてみたんですが、この地区選抜で今まで経験したことのないバチバチした「本気のアルティメット」を肌で感じて、少し自分の中でアルティメットというスポーツに対する見方が変わりました。それまで「遊び」としてのアルティメットしかしてなかったのですが、「あ、アルティメットってこういう風にガチでやるスポーツなんだ!」って思ったんです。

地区選抜対抗戦

2016U-23地区選抜対抗戦 関東地区ウィメン部門は優勝

―本気でやるアルティメットの楽しさを感じ始めたんですね。
はい。当時はバイトばかりしていたんですが、親とも話をして「やりたいことがあるなら応援するから、頑張ってみていいんじゃないか。」と言われ、今しかできないことをやったほうがいいなと思ったんです。3年生になった時、自分たちの代になったこともあり、より本格的にアルティメットを頑張るようになりました。そのころからチームもだんだんと本気でアルティメットに取り組むようになりました。

経験をチームに還元するため。受かったらラッキーって気持ちで選考へ

―日本代表を目指したきっかけは?
もっと上のレベルでやってみたいなと思ったのと、チームで本格的にアルティメットをするようになって、U24の代表選考会からチームに還元できたらいいなという想いで受けることにしました。今までちゃんとやっていなかった分、知識も全然なかったので、自分が上手くなればチームの戦力になるだろうし、練習メニューや考え方を持ち帰ればチームがもっと強くなるだろうと思って、勉強するつもりで選考を受けに行きました。

―選考会を受ける時はどんな気持ちでしたか?
行って受かったらラッキーくらいの気持ちで参加しました。(笑)
とはいえ、知らない人が多かったのでとても緊張しましたね。

―実際、選考会を受けてみてどうでしたか?
思っていたよりは通用したという印象でした。最初は、みんな超すごい人だと思っていましたが、ラントレなどで自分が通用する部分もあったので安心しました。選考会を受ける前は日本代表の選考会を受ける人ってめちゃくちゃすごい人達だと思っていたのでとても緊張していましたが、実はそんなこともなく今振り返ってみると自分の中で勝手に神格化しすぎていたなと思います。

―どの選考会が一番緊張しましたか?
1次選考会が一番緊張しました。監督やコーチのほかに社会人チームMUDの選手など、大人の人たちがたくさんいて、みんなサングラスをして怖そうだったので、めちゃくちゃ緊張したのを覚えています。(笑)

―選考会で意識したことはありますか?
実はそこまで考えてなかったんですよ。(笑)
そもそもアルティメットにおいて何が良くて何が悪いかもあまり考えたことがなく分からなかったので、「自分のここを見てくれ」ではなく、「今日はどんなことをするんだろう。」「このメニューはどんな意味があるんだろう。」っていうのを勉強するつもりで参加していました。今は、大会やターンごとにしっかりと目標を決めてそれを徹底することが大事だなと思っています。あとは、声を出すことと声に反応することがめちゃめちゃ大事だと思っているので、声を出すこととそれに柔軟に対応することは常に意識しています。

1次選考

1次選考の様子。U24日本代表を通じて、同世代の繋がりができたことは大きいという。

 

 

―日本代表に決定したときはどんな気持ちでしたか?
最終選考の1日目の夜に監督に呼ばれて、確定メンバーになったことを知らされました。素直にうれしかったですね。ラッキー♪って思いました。(笑)

―U24日本代表としての国内合宿を振り返ってみてどうでしたか?
自分の立ち位置が一番変わったと思います。最初は、勉強できればいいなという気持ちで受けていましたが、途中からは自分が中心になってチームを引っ張っていかなきゃいけないなぁと思い始めました。とは言っても、まだまだチームに対してこうしていこうっていうところまでは気が回らなかったので、単純に自分がもっと上手くなって戦力的にチームに貢献できるようにならないとなと思いました。

―キャプテンに決まったのはいつですか?
10月くらいに決まりました。もともとギリギリまでキャプテンを決めないという話にはなっていて、全体発表の前に監督陣から呼ばれてお願いしたいと思っているという話をしていただきました。

―キャプテンを任されてどう思いましたか?
最初は「まじか!」って思いましたが、単純に認めてもらったということが嬉しかったです。ただ、あまり人前で話すのが得意なほうではなかったので少し気が重いなって感じでした。

遠くないと感じた世界一。悔しい気持ちの世界大会

―世界大会を振り返ってみてどうでしたか?
大会を終えて振り返ると、やっぱり悔しかったです。正直、外国人に対して体格的な部分で勝てないのかなと思っていたところもあり、最初から優勝できると思っていたかというとそうでもなかったのですが、実際にやってみたら通用する部分もあって、全く歯が立たなかった試合はなく、どの試合も勝てたなと思える試合だったので、今振り返ると悔しい気持ちが強いですね。

ドイツ戦の様子

勝利したドイツ戦の様子

 

―初めての世界大会でしたが、個人としてはどうでしたか?
当初、全くかなわないと思っていたアメリカでさえも、足の速さやディフェンスで通用する部分があったので、自分が想像していたほど世界一が遠いものではないと感じました。

アメリカ戦の様子

強豪アメリカを相手にしても吉田選手は躍動

 

―最も熱かった試合はどの試合でしたか?
コロンビア戦です。オーストラリア、カナダ、アメリカにすでに負けていて、決勝トーナメントに進むには3点差以上つけて勝つことが最低条件で、あとは他試合の結果待ちでした。必ず勝たなきゃいけない、しかも3点差以上つけなきゃいけない、という中でチームが一丸となって戦いました。最終的に3点差をつけて勝った瞬間は本当にアツい瞬間でした。

―もしもう一度、世界大会前に戻れるとしたらどんな準備をしますか?
1試合目のオーストラリア戦での敗戦は、言い訳っぽくなってしまうかもしれませんがアルティメットの技量というよりは世界大会の経験値不足が招いた結果だったと思います。それも含めて実力といえばその通りですが、世界大会は国内の大会よりも試合時間が長かったり、国内ではまだあまり馴染みのないゲームアドバイザーがついた環境での試合だったり。そもそもコミュニケーションを英語で行う試合が日本国内ではないかったり。そういった環境の変化に対応する労力が必要になってしまった気がします。この経験を事前に国内で準備できていればもっと他のことにエネルギーを注げたと思いました。

オーストラリア戦の様子

オーストラリア戦での激しい競り合い。プレーでは通用した自信があるからこそ、様々な面でのレベルアップが必要だと語ります。

 

―日本代表という経験を振り返ってどうでしたか?
結果はやはり悔しかったですが、総じて振り返ると楽しかったです。アルティメットをガチで語り合える仲間ができて、一緒に過ごす時間がとても楽しかったので社会人でもアルティメットを続けようと思うようになりました。

―今後、A代表を受けたいと思いますか?
はい、受けたいです。A代表になって世界大会で勝ちたいですね。世界一になりたいです。

―これからU24日本代表を目指す後輩へメッセージはありますか?
受けようか迷っているなら受けたほうがいいと思います!なによりも絶対に楽しいです!最初は受けるのに抵抗ある人も多いと思いますが、同世代でアルティメットをするのがアンダーくらいしかないと思うので、アルティメットをやってて楽しいなと思えるはずです。少なくとも私は受けて良かったです!

―ありがとうございました!
ありがとうございました!

2018 U24 ウィメン部門日本代表

2018 U24 ウィメン部門日本代表。同世代の仲間と世界を相手に戦った経験はかけがえのないもの。

 

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