【海外日本人選手対談 vol.2】仙田凌&村岡彰文 「AUDLルーキーシーズン前半を振り返る」

 

北米プロアルティメットリーグAUDLの2019年シーズン前半が終了しました(レギュラーシーズン全15週間のうち8週が終了)。今シーズンのAUDLには、私仙田凌がアメリカ・サンディエゴのSan Diego Growlers(西地区)に、私と同じく1994年生まれの村岡彰文選手がカナダ・トロントのToronto Rush(東地区)に所属しています。

西、東、中西、南の4地区で構成されるAUDLは、各地区から1チームずつだけが出場できる8月のチャンピオンシップウィークエンド(以下、CSW)進出をかけて、各地区のレギュラーシーズン1位と2位が7月末にプレーオフを戦います。CSW進出のためには少なくとも2位以上で全12試合のレギュラーシーズンを終える必要がある中で、仙田所属のGrowlersは現在6勝1敗でリーグ首位、村岡所属のRushは4勝2敗でリーグ2位といずれも好調を維持しています。

今回は、海外日本人選手対談企画の第2弾として、私と村岡選手のシーズン前半戦を振り返っての話を皆さんにお届けしたいと思います。

 

【同企画の他記事はこちら↓】

 

シーズン前半のチーム状況

−仙田−
おはよう。昨日のMadison戦お疲れ様。22-15で大勝だったね。Madisonは昨年のAUDLチャンピオンチームだけど、相手の調子はあまり良くなかったの?
※取材は5月26日(Rushのホームで行われたMadison Radicals戦翌日)に行われた。

−村岡−
ボコボコにしてやったよ(笑)。相手がどうこうというより、チームメイトのカナダ人たちが日に日に仕上がっていってる感がすごいかな。みんな気持ち悪いくらい、どんどん走れるようになってきてる。

そんなことより、仙田は怪我なんかしてる場合じゃないでしょ。怪我したのはいつだっけ?

−仙田−
5月4日のSeattle戦で、ダイブディフェンスした時に左脚ハムストリングを肉離れしちゃった。シーズン終盤の大事な時期じゃなかったのが不幸中の幸いかな。先週の練習にはフルで参加できたし、状態は良くなってるから、6月からのシーズン後半にはしっかり活躍します。

−村岡−
Growlersは今首位で、調子いいね。

−仙田−
そうだね。プレーオフ進出はかなり見えてきたかな。7試合終了して6勝1敗。残り5試合だけど、2位のLos Angeles Aviators以外はかなり負け越しているから有利だと思う。とはいえ油断はできないけど。

−村岡−
なるほどね。シーズン前半を総括するとどんな感じだった?

−仙田−
チームとしては、チーム史上初の開幕4連勝をしたり、その後1敗を挟んで連勝中だったりと、過去のシーズン以上にかなりいい状態だと思う。シーズン序盤はチームとしていいプレーはできているのに点を取りきれず接戦に持ち込んでしまったり、完璧な状態ではなかったけど、そんな中でも接戦を落とさずものにしてきたおかげで徐々にチームが仕上がってきたかな。5試合目のSeattle戦で思うようなアルティメットができずにシーズン最初の負けを喫してしまったのも、内容が良くないなかで結果が出てしまっていた開幕4試合の後というタイミングも含めて、今思えばいい刺激だったんだと思う。翌週からはみんなスイッチが一つ切り替わった感じで、その後の試合は自分たちがやりたいアルティメットをしっかりとできていて、危なげなく勝てているからね。個人としてはチームがいい状態の2試合に怪我で出場できていないのが歯がゆいけど、チームがいい雰囲気なのはすごく嬉しいかな。

 

12試合中7試合を終えて6勝1敗。San Diego Growlersはリーグ首位を走る。

 

−村岡−
俺の方は正直、ほとんど記憶がない(笑)。うーん。Philadelphia Phoenix戦で負けてしまったのが一番の誤算だな。New YorkとPhiladelphiaに負けてしまったのが悔しすぎて、他の試合のことがほとんど記憶にないな。

−仙田−
なるほどね。New YorkとPhiladelphiaとの試合は、Rushのシーズン前半で唯一のダブルヘッダー(同週末に2試合行う日程)だったよね。

−村岡−
そうそう。Phoenix戦の前日はNYでのEmpire戦(フルゲームハイライト)があった。Empireに負けてしまった後、その夜すぐにバスに乗ってPhiladelphiaに移動して、翌日午後2時から試合だったんだよね。しかもPhiladelphiaはめっちゃ暑かった。みんな全然身体が動いていなかったね。それにメインのオフェンスメンツがいなかったのも一つの要因かもしれない。ハードな日程だった。とはいえ、あの試合に負けてしまったのは前半戦で一番もったいなかったと思う。

−仙田−
なるほどね。前半戦の総括としてはどう?

−村岡−
チームの全体としては仕上がりつつあると思うけど、前半戦はまだまだ100%じゃない感覚があるかな。彼らはもっとできるはず。個人的には、最近やっとみんなのプレーがわかって、チームに馴染めてきた気がしているかな。

−仙田−
そうなんだ。どういう部分で100%じゃないって感じるの?

−村岡−
仕方ないことかもしれないけど、日本でやってたプレーをRushではやってないってのが一つかな。カウントが詰まったら日本だと誰かが短いパスでリセットに行くけど、こっちはドカンとシュートを打っちゃうところとか。個人的には、そこでシュート打ってしまうより、確実に繋いで仕切り直した方がいいなって思うし、そこを修正したらもっと良くなると思う。でもこっちはカウントが詰まったら、シュートを打てば点が入るかもしれないし、入らなかったとしても相手はゴールから遠いところから攻めなきゃいけないって考え方みたい。こちらにきて色々と学ぶ部分は多いけど、この部分は納得がいかない部分かな。

だけど、監督とかとそういう話をしていて、少なくとも自分がディスクを持っているときは、カウントが詰まったからといって打っちゃうことはしないって伝えた。それからは、誰かがカウントを戻しフォローしにきてくれる。

あとは、相手がゾーンとかダブルチームをしてきた時にどうやって崩すかの考えを共有しきれていないことも100%じゃない要素かな。New York戦では結構相手がゾーンとかダブルチームを使ってきたんだけど、なかなかうまく崩すことができなくてしんどかった。New YorkやPhiladelphiaでの試合はこの辺りでペースを掴めなかった。後半に向けて改善の余地があると思うな。

−仙田−
なるほど。逆に前半のよかったところはあった?ベストゲームとか。

−村岡−
昨日のMadison戦かな。さっきも話したように、チームメイトたちのコンディションが日に日によくなってきているのを感じるし、試合内容としても個人的なプレーとしても昨日はよかったと思う。

 

4勝2敗でリーグ2位のToronto Rush。村岡選手はルーキーシーズンからオフェンスの中心となっている。

 

チームの中でのそれぞれの役割

−仙田−
今シーズン、俺も村岡もチームではオフェンスで試合に出ることが多いね。

−村岡−
そうだね。AUDLに来る前から思っていたけど、日本以上にこっちはオフェンスとディフェンスをかなりしっかりわけるなって思う。俺はディフェンスの方が好きなんだけどね。仙田はオフェンス好きだよね(笑)

−仙田−
そうだね。ディフェンスはすごく大事な役割だし、プレッシャー的にはオフェンスよりも気が楽でいいなって思う時もある。だけど、チームが勝つときはディフェンスのおかげ、負けるときはオフェンスのせいっていうのがアルティメットだと思っていて、ディフェンスメンツだとチームが負けた時に手応えを感じられないから嫌いかな。ディフェンスメインで出ている時に、オフェンスの人たちが崩れてしまって負けてしまう試合って、なんとも言えない悔しさがあって。オフェンスが仕事をしないとディフェンスがいくら頑張ったって負けてしまうときがあるからね。

−村岡−
本当にその通りだと思う。

−仙田−
そういう意味で、個人的にはオフェンスで出ている方が試合を楽しめている気がしている。

−村岡−
今のチームでは、オフェンスの中でどういう役割?

−仙田−
怪我をしてしまうまでの5試合はオフェンスでの出場がメインだったんだけど、俺はオフェンスの中心というよりはつなぎ役って感じかな。本当は自分が走り込みたいスペースを空けているつもりなんだけど、スペースを空けているとチームメイトがここぞとばかりに走りこんできちゃうんだよね(笑)。あれ〜俺がそのスペース使いたかったんだけどな〜とかって内心では思いながらも、味方がそこでしっかり繋いでくれるからまあいいかって。その代わり、ディスクの流れが苦しくなった時に確実にフリーになってパスを受けることでディスクを繋いでいくのが今の役割かなって思っているよ。

−村岡−
スペース使われちゃう感じ、分かるな(笑)。

−仙田−
そういえば、村岡はプレー以外で笑いを取るセンスがあるっていうことをチームメイトに褒められていたね。

−村岡−
まさか記事になると思ってなかったからびっくりした(笑)。確かに、英語は全然できないけど、頑張って色々仕込んで笑いを狙ってる。こっちの人たちは日本人よりもリアクションが大きくて、頭を抱えながら大声で笑ったりしてくれるから、それが嬉しくてまたどんどん頑張っちゃう。

−仙田−
俺はそのセンスが全くないから羨ましいわ。

 

Toronto Rushホーム開幕戦の様子

Toronto Rushホーム開幕戦の様子。村岡選手はすでにチームから愛される存在だ。

 

シーズン後半戦に向けて

−仙田−
じゃあ最後に、シーズン後半戦に向けての意気込みとか話そうか(笑)。

−村岡−
意気込みとか特にないかも(笑)。引き続き頑張るから、もし試合をみてくれる人がいたら温かい目で見守ってほしいです。仙田は?

−仙田−
まずは怪我から復帰して、その後しっかり試合に出て結果を残したいかな。あとは、チームとしてプレーオフに出て、そこでしっかり勝って、CSWに出場したい。

−村岡−
なるほどね。あとは楽しみたいね。

−仙田−
間違いない。それが一番大事。お互い楽しみながら頑張ろう。今日もありがとう。

−村岡−
こちらこそありがとうね。

 

Rush High Five

プレーオフ進出に向けていい位置につけているRushとGrowlers。今週末からはシーズン後半戦が始まる。

取材、編集を終えて

対談企画第2弾、いかがだったでしょうか。第1弾の時とはそれぞれの状況が変わり、手ごたえや反省が出てきた私と村岡選手。シーズン終盤にも改めて実施予定ですので是非楽しみにしていてください。

両選手所属チームの今後のスケジュールはそれぞれ以下よりご覧いただけます。

■村岡選手所属 Toronto Rush スケジュール
https://theaudl.com/rush/schedule
次回試合は現地時間2019年6月2日(日)14:00 (日本時間3日(月)3:00)試合開始。相手はMontreal Royal。

■仙田所属 San Diego Growlers スケジュール
https://theaudl.com/growlers/schedule
次回試合は現地時間2019年6月1日(土)19:30 (日本時間2日(日)11:30)試合開始。相手はリーグ2位で首位争いをするLos Angeles Aviators。

日本からもAUDL.TVよりご覧いただけます($9.99/月。ライブ配信、試合後のデータ配信ともに利用可)。お時間がある方は是非、私と村岡選手のプレーと所属チームの試合をチェックしていただけますと幸いです!

 

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